国交省住宅局長表彰に虻田町「のぞみ団地」選ばれる

発注者:虻田町 設計(土木基本設計および実施設計、監理):(株)シビテック
(室蘭民報 平成15年10月8日掲載記事より)

虻田町洞爺湖温泉町の公営住宅「のぞみ団地」(4棟50戸)が 平成15年度国土交通省住宅局長表彰に選ばれた。 同団地の所在地は洞爺湖温泉町90-1。有珠山噴火で損壊した公営住宅の再建と、災害公営住宅の合築団地として計画され、 平成12、13年度の2ヵ年で建設された。 4棟とも耐火構造3階建てで、今後の噴火を想定した住棟配置を採用。避難道路の確保など防災機能も重視した。 自然の傾斜を生かした造成で、洞爺湖などの景観を眺望できるバルコニーを付けた。造成・設計の工夫で 工事費や設備費の縮減を図り、1戸当りの工事費を16,819千円に抑えた。 15年度の国交省住宅局長表彰は、個人の部6人、団体の部7団体。道内からは虻田町だけが選ばれた。 災害公営住宅の的確な建設とともに「自然環境に配慮し、豊かで安全な住環境を創った」などの理由で表彰された。

設計コンセプト

設計時点で当該計画地への居住希望者が相当数確認された為、敷地造成の可能な範囲、且つ住居数を最大限確保出来る計画に配慮した。 又、計画地へのアクセス道路に付いては、国道230号からの直接取付は視距の点からも危険と成るため、南東側の町道より進入出来るよう計画する。 近年、住民の生活水準の向上や意識の変化と都市化の進展が進んでいることから下記の4項目を基本方針として整備を行うものとする。
基 本 方 針
1)周辺環境に相応する住宅地であること。
2)生活する人々に対し「豊かで機能的な住宅地」であること。
3)車社会に対し100%の駐車場を確保しながら、住居者に取って「安全で住みやすい住宅地」であること。
4)住宅地としての機能を損なわずに、建設費を出来るだけ縮減する。

基本方針の各項目に関する配慮事項

周辺環境に相応する住宅地

  • 当該計画地の南東側が噴火口であることから、みたび噴火があった時を想定し安全に配慮し住居の妻側を南東へ、ベランダを北東に向けた。
  • このことにより住居から常に洞爺湖を眺望する事が出来、精神的な安らぎを受けることが出来る。

のぞみ団地

豊かで機能的な住宅地

  • 当該計画地は洞爺湖温泉市街地から直線距離で2.0Km、バス等で5分程度の場所に位置している。
  • 住居は4棟50戸の計画で、その他集会所、保育所、児童遊園広場等を整備している。
  • 計画地は在来緑が豊かで、シラカバ、エゾヤマザクラ、イタヤカエデ等が多く繁茂していた。
    これらの事から、樹木植栽、張り芝等を多く取り入れ緑の復元に配慮した。

のぞみ団地

安全で住みやすい住宅地

  • 総ての住居者に駐車場が確保出来、駐車場照明も整備されている。
  • 計画地内を周回する幹線道路は全線歩道が整備され、安全が確保されている。
  • 幹線道路は町認定道路となっており、冬期は除雪等の管理も行き届いている。
  • 有事を想定し避難誘導灯を計画。夜間の停電時や降灰等による視界不能時に誘導灯により速やかに避難を可能とする。

 

のぞみ団地 のぞみ団地

住宅地としての機能確保、建設費の縮減

  • 住宅地としての機能 は 1 ~ 3 にて表記
  • 住宅地建設費の中で基盤整備に関わる費用は決して少なくない。
    これらの事から、在来の地表勾配を考慮し各住棟の造成高を計画、造成に伴う工事費の縮減に努めた。